中室牧子さんの『学力の経済学』をご存知でしょうか?
このサイトで何度も紹介しています本になります。素晴らしい本だなぁと思うと同時に当たり前のことが書いてある本になります。
当たり前といっても、これは理系大学を出た人にとって当たり前なことだと思います。どういうことかというと『データ』を大切にするということです。
主観を含まず、『データ』を注意深く読み取り、そこから次にどう行動するかを考えるのです。物事の考え方についても非常に参考になる本だと思うので、是非手にとってみてください。
その個人的な教育主張って正しいの?
地球温暖化とか少子高齢化対策、このような問題は専門家の方々が様々なデータから議論をし、一般人が入り込む余地はありません。なぜなら専門性がない人にはチンプンカンプンな世界だからです。
しかし、教育論に関しては個人的な経験に基づいての主張がたっぷりと出てきます。専門家でない一般人でも『教育』に対してはなぜだか口を出したがるのです。
「これってなぜ?」
それは、なんとなくで語れちゃう分野だからだと中室さんは言います。でも、それに再現性があるかどうかなんて知らなくて、『なんとなく自分の経験上正しかったから』で発言しちゃうのです。
それも大切なことかもしれませんが、
「まずは今まで教育学者が貯めこんでくれたデータを元に考えていきましょうぜ!主義主張はそのあとで!」
というのがこの本の趣旨だと思います。
日本は教育政策の科学的アプローチが足りない
アメリカでは『教育科学改革法』が制定されており、自治体や教育委員会が国の予算をつけてもらうためには、
「自分たちの行なっている教育政策にどれくらいの効果があるのか?」
という科学的根拠を示す必要があります。
だから行なった教育政策の効果を科学的に検証し、どんどん知見が溜まっています。
「じゃあ日本は?」というと、そもそもその概念が浸透してないので、それが必要かどうかも全然考えられていません。
例えばですが、ゆとり世代は失敗したと言われています。ゆとり教育の失敗って活かされているのでしょうか?
- なぜゆとり世代は失敗したのか?
- その失敗を次に活かしているのか?
- そもそもなぜゆとり世代を作ったのか?
この3つの疑問が簡単に浮かんできますが、これってみなさん答えられますか?
私個人としては『ゆとり』という教育は必要であり、方向は正しかったと思います。しかし、『ゆとり』を教えることができるほどのレベルの高い教員は少なく、しかも教員も日々の仕事に追われているので『ゆとり』に向けた対策が何もできなかったのが原因だと考えています。
このゆとり世代の失敗って何かに活かせているのでしょうか?
残念ながら、活かされていません・・・。
「はいはい〜ゆとり世代失敗しました〜。じゃあゆとりやめましょう〜。次の世代に期待ですね〜」
くらいなんだと思います。日本は大規模な社会実験をして失敗したんです笑(ちなみに私もこの壮大な社会実験のサンプルの一人です)
アクティブ・ラーニングが叫ばれていますが、これもどうなることやら・・・。まずは教員の待遇を変えないと、教員は忙しすぎて準備ができません。
ゆとりの失敗を繰り返すわけにはいかないので、親の皆様、教員に子どもの教育を全て押し付けるのはやめましょうね。
褒める褒めない?
『褒めて伸ばす?叱って伸ばす?』よく議論されるテーマです。
まぁどちらも必要なことですよね。ただ適切な時にそれができるかどうかが親の力量として問われています。
そもそも褒めると何が良いのでしょう?
目的としては自尊心を高めることです。なぜ自尊心を高めるかというと、自尊心が高い方が社会的に成功する確率が高いと分かっているからです。
じゃあ「褒めると自尊心って高くなるの?」を考えないといけません。
実を言うと、褒めることで自尊心が高くなることはありません。
自尊心は、『テストの点が良くなった』、『学力が高くなったとか』、そういうのが自尊心につながっていきます。
と言うことは、「どうやって子供が良い成績を取れるようにしていくか?」に焦点を当てるべきなのです。
では、子どもが良い成績を収めた時、次のどちらが良いと思いますか?
- 「賢いね〜」
- 「よく頑張ったね」
似てますが、「よく頑張ったね〜」と言った方が良いことが分かっています。その理由は、『才能を褒めるのか?努力を褒めるのか?』では、努力を褒めた方が良いからです。
才能を褒めるだけだと、子どもが実力の伴わない勘違いしたナルシストになる可能性があります。だから努力を褒めて、努力ができる子になるようにアシストさせるべきなのです。
ご褒美はあげた方が良い?
ご褒美は必要だと思いますか?次の2つの場合で考えてみてください。
- テストで良い点を取った時
- 本を読んだ時
年齢によって場合は変わりますが、上の2点ではどちらでご褒美をあげた方が良いと思いますか?
答えは『本を読んだ時』です。
ご褒美を迷う場合は、それがアウトプットなのかインプットなのかで決めてください。
- テストをする(アウトプット)
- 本を読む(インプット)
なぜインプットの方がいいのかというと、「テストで良い点を取ったらご褒美をあげる」と言われても、子どもはテストで良い点を取るための方法が分からないので行動がとれません。(高校生ぐらいならわかるでしょうが、小学校の低学年の頃ではわかりません。)
だから、具体的な方法を指示して、インプットを重視する方が効果があるというわけです。
『褒める?褒めない?』や、『ご褒美はあげるべき?』と言う議論に対し、科学データがはっきりと結論付けています。
自分の直感を信じるよりは、研究者が長年かけて集めたデータを活用した方が良さそうだとは思いませんか?
この本には『子育てで知っておきたいこと』がたくさん書かれていますので、お子さんを持つご両親には是非とも読んでいただきたいなぁと思います。
それと、私の教育観では、子育てとは両親だけでなく、兄弟や親戚、周りの地域の人々が一緒になって行うものだと考えています。だから子を持つ人だけでなく、多くの方がこの本を読めば日本の教育事情はよくなるだろうなと考えています。
教育がよくなれば、日本もより良くなることにつながります〜( ´∀`)
まとめ
今回の記事では『学力の経済学』について書いてきました。
「読んでみよう!」という気持ちになってもらえたのであれば幸いです(`・ω・´)”
では簡単に今回の記事をまとめます。
- 専門家でない一般人でも『教育』に対してはなぜだか口を出したがる
- アメリカに比べと日本の教育科学は遅れている
- 主観的意見よりも『データ』を大切にするべき
本日も最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました。
コメント