子どもは褒めて育てるべきなのか?それとも厳しくしつけていくべきなのか?
子どもに勉強をさせるためのご褒美はありなのか問題と同じくらい親にとって悩ましい問題だと思います。
今回の記事は『褒め育てはOK?』なのかについて焦点を当てて書いていきたいと思います。(中室牧子先生の『学力の経済学』より、科学的な見解を参考にしています。毎回オススメしているのですが、本当に素晴らしい本なので是非とも手にとってご覧になってみてください。)
褒める意味って?
そもそも子どもを褒める意味はなんでしょう?
どういう目的で子どもを褒めていますか?
もしこの答えに戸惑うようであれば、今やってる褒め方は間違っている可能性が高いです。というのも、むやみやたらに子どもを褒めることは教育上よくないことがわかっています。(例えば、口だけ達者な実力の全然ないナルシストになるかもしれません。)
『褒める意味』は子どもの自尊心とやる気を育むためです。
何かに努力してる姿を褒められて嫌な顔をする人はいませんよね?
心理学の研究では『自尊心』が高い子どもは教員との関係の良好で、学習意欲が高いと示されています。反対に自尊心が低い子どもは、教員との関係がうまく築けなかったり学習意欲が低い傾向があります。
子供の自尊心を育むことは教育上、とても大切なことです。
褒め方の重要性
『子どもを褒める→自尊心が高くなる→学力が上がる』
というサイクルが築けそうなのですが、アメリカのフロリダ州立大学の研究によると、自尊心が高まることで学力が向上するわけではないということがわかりました。
つまり、自尊心と学力の高さは因果関係ではなく相関関係だったのです。
さらに、予想されていた因果関係とは全くの逆で、「自尊心が高いから学力が高いのではなく、学力が高いから自尊心が高くなる」という身もふたもない結果がわかりました。
続けてこんな研究結果も出されています。
試験で成績の悪かった学生を2つのグループにわけ、片方には事務的な連絡、もう片方には「君はやればできる」と自尊心を高める言葉を一言添えて連絡を送りました。
さてこの2つのグループ、期末試験の結果はどうなったと思いますか?
なんと、「君はやればできる」と言われたグループの学生は、言われなかったグループの学生よりも成績が悪かったのです・・・。
これがすべての学生に悪かったかというとそうではなくて、特にもともと成績の悪かった学生に大きなマイナスの効果をもたらしました。
成績の悪い子に「君はやればできるよ」という言葉は悪影響を与えてしまうという事実は知っておかなくてはなりません。
才能を褒める?努力を褒める?
これもよく言われることですが、「頭がいいね」と「よく頑張ったね」と言うのではどちらが良いでしょうか?
コロンビア大学の研究によると、子どもの頭の良さを褒めると、やる気を失い成績が低下することがわかりました。
“頭の良さ”を褒められた子どもは、次も頭の良さを褒められることを望むので、難しい問題ではなく簡単な問題を解こうとします。
“努力”を褒められた子どもは、難しい問題でも粘り強く解こうと頑張ろうとします。どちらが学力につながるかお分かりですよね?
これからの時代に求められるのは『答えのない問いに対して考え続ける力』であり、その力を育まなくてはなりません。難しい問題に挑戦しようとする子どもに育てたいのであれば、その子の才能ではなく「努力」を褒めてあげてください。
まとめ
今回の記事では『褒め育てはOK?』について書いていきました。
それでは今回の記事を簡単にまとめます。
- 正しい褒め方と正しくない褒め方がある
- 正しくない褒め方だと「私には才能がないから」など、すべてを『才能があるかないか』で片付けてしまうようになる
- 努力する子どもに育てたいならば『努力』を褒めてあげるべき
本日も最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました。
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