【読書メモ:私たちは子どもに何ができるのか】非認知能力はどうやって鍛えられるのか?を知るための一冊

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【読書メモ:私たちは子どもに何ができるのか】非認知能力はどうやって鍛えられるのか?を知るための一冊

ポール・タフさんの『私たちは子どもに何ができるのか』を読みました。

教育分野の研究事例をまとめた1冊で「どうやって非認知能力を鍛えていくのか?」に主眼が置かれていた本でした。

いつものごとくメモしていきます“φ(・ω・。*)カキカキ

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私たちは子どもに何ができるのかを読んで

内容紹介

まずはアマゾンより内容を引用します。

本書の著者ポール・タフは、ヘックマンの研究をはじめ、
世界中の研究者によるさまざまな科学的知見と先進事例を統合し、
特に貧困家庭に育つ子どもにとって、非認知能力の育成が
「その後の人生」に大きな影響力をもつことを前著『成功する子 失敗する子』で提示し、
全米ベストセラーとなりました。

一方で、非認知能力の重要性は理解されたものの
「どうすれば非認知能力を伸ばせるのか」という
具体的な方法論は課題として残されていました。

本書は、まさにその疑問に答えようとすべく、
2年にわたって新しい研究や事例を取材して結実した意欲作です。

非認知能力とは、IQなどの認知能力とは違い、

  • 努力できる
  • 我慢できる
  • やり抜くがある
  • 自制心がある

などの“ペーパーテストでは測れない力”のことです。

ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンさんが「子どもを成功させたいなら、認知能力より非認知能力の方が大切だ」と指摘して以来、非認知能力の大切さが問われています。

これにより非認知能力の大切さがわかったものの、非認知能力の鍛え方ついては十分に理解されていません。本書はそれについて具体的に触れていました。

現場とを政策立案者の双方に実践的なガイドを提供することを目的としている。「それで、結局どうすればいいのですか?」という質問に答えようとするひとつの試みである。p19

ペリープロジェクトとは?

ジェームズ・ヘックマンさんが行ったプロジェクトに“ペリープロジェクト”というものがあります。

これは就学前の子どもに良質な保育と教育を施すプロジェクトで、これを受けた子供達は、

  • 高校卒業率が高く
  • 犯罪率が低く
  • 生活保護率が低く
  • 年収が高い

などメリットしかありませんでした。

このプロジェクトにより、就学前の適切な教育は非認知能力を高め、その後の人生に大きな影響を与えることがわかりました。

早期教育の投資効果

早期教育をすることはもう何が重要か?というと、その子だけでなくて社会に対しても大きなメリットがあるからです。

十分な教育を受けなかった子供達は、将来犯罪をする可能性が高くなり、生活保護を受ける可能性が高くなり、社会に対してマイナスをもたらす可能性が高くなります。

だから早期教育を十分に施すことは、社会に対して大きなメリットがあると考えられおり、その投資対効果は13倍というデータもあります。(納税額の増加や犯罪コストの低下などから算出)

子どもの貧困率はどれくらい?

私がサイトを通して何度も書いてることなんですが、ここで質問があります。

日本の子どもの貧困率はどのくらいだと思いますか?何人に1人の子供が貧困状態にあるでしょうか?少し考えてみてください。

 

日本では6人に1人の子どもが貧困状態にあります。

満足にご飯を食べれない子が、日本でもそんなにいるんですね。

アメリカでは日本の4倍近い50%が子どもの貧困状態にあるそうです・・・。猛烈な格差が生まれているのです。

貧困家庭にある子供たちは大学に行くことは難しくなります。そうなると、貧困の連鎖が始まっていきます。

じゃあその連鎖を断ち切るためにどのように税金を使うべきなのか?テストの点を良くするのか?成績アップを目指すのか?

いやそこは“非認知能力を鍛えるためにお金を使うべき”、本書を読めばその理由が分かります。

貧困は自己責任なのか?

貧困などの話をすると『自己責任論』がどうしても出てきます。

もちろん自己責任の面もあるとは思いますが、自己責任だけでは片付けられないこともあります。

さてさて、貧困問題について世界各国で意識調査が行われました。日本と世界の貧困に対する意識の違いを見てみましょう。

世界各国でおこなわれた貧困問題への意識調査で興味深いデータがある(The Pew Global Attitudes Project、2007年)。「自力で生きていけないようなとても貧しい人たちの面倒をみるのは、国や政府の責任である。この考えについてどう思うか?という問いに対し、「そう思わない」と答えた人は、中国ではわずか9%、イギリスでは8%、ドイツでは7%の人だけだった。

つまり、これらの国々ではほとんどの人が、貧しい人の支援を政府が行うべき、と考えていることが分かる。しかし、日本では「そう思わない」と答えた人が38%。諸外国の5倍近く。アメリカですら28%だというのに。p7

日本人に対する印象は変わりませんか?

テレビを見れば、日本人の魅力や日本の素晴らしさについて放送しているテレビ番組がたくさんあります。良いところばかりを取り上げることは“洗脳”に近いんじゃないのかな?と私は思っていたりします。

この数字を見てあなたの意識は少しは変わったのではないでしょうか?私たちが意識することなく抱いている、“あまりに強すぎる自己責任論”は、世界と比べると“普通ではない”ということを認識しなくてはいけません。

自己責任論は、貧困だけでなく、『健康』についてもそうです。

「あの人が病気になるのは当たり前だ」

果たしてそうなのでしょうか?医療費が増えすぎて借金地獄に陥っている日本。

「自己責任でしょ」で片付けていい問題なのでしょうか?

非認知能力は環境によって育まれる

子供の非認知能力を伸ばしている優秀な人々を調べた結果、筆者は次のような結論に至っています。

私の至った結論はこうだ。「非認知能力は教えることのできるスキルである」と考えるよりも、「非認知能力は子供を取り巻く環境の産物である」と考えた方がより正確であり、有益でもある。p27

非認知能力を教えるのではなく、『非認知能力が育つ環境を提供する』ということです。そのため、最初に働きかけるべきことは、子供自身ではなく、子供の環境なのです。

非認知能力を伸ばすためにストレスを取り除こう

子供が成長できる環境を阻害するものは何なのでしょうか?

その1つは健康に関するものです。例えば栄養価の低い食事しか取れない子供たちは、言うまでもなく成長が阻害されます。

他の理由は、知的刺激です。幼い頃から本や教育玩具を与えられた子供とそうでない子供では、成長が変わってしまうのも当然のことです。

これらの問題はこどもの非認知能力を阻害する大きな原因になります。

しかし、最近の研究により、神経科学者や心理学者、その他の研究者がもっとも子どもの発達を左右するのは、「ストレスだ」と言う結論に至っています。

長期にわたりストレス受けた子供たちは、心も体も健全な成長を阻害されてしまうのです。

ストレスが子どもに与える影響

ストレスは短期的に見れば環境的なメリットもあります。例えば危険なものから逃げたりすることです。

しかしストレスが長期にわたり与えられ続けると、身体に様々な悪影響を与えます。そして最も厄介だとされていることが、“ストレスは脳の発達に影響を及ぼす”ことです。

幼い時期に高レベルのストレスを与え続けられると、前頭前皮質と呼ばれる知的機能を司る脳の大切な部位の発達が阻害されます。そうなると感情面や認知面での制御能力が発達しません。

前頭前皮質は脳の高度な知的能力、作業記憶、自己調整、認識の柔軟性などに関係しており、これらの各能力が粘り強さやレジリエンスなどの非認知能力の支えとなります。

だからこそ、幼児の時の強いストレスが、その後の社会生活に大きな影響を与えてしまいます。

子どものストレスは母親がケアできる

ストレスに対してどうするべきか?

ここでも母と子の関係がとても重要だということが分かってきています。

マギル大学の研究者らは、母ラットの特定の行動が、子ラットの DNA の配列に起こるメチル化に影響を与えることは明らかにした。子ラットがストレスを受けたときに母ラットが示す温かく繊細な対応、とくにリッキング・アンド・グルーミングと呼ばれるなだめるような行動が、 DNA 上で海馬を制御する部位のメチル化を抑制するのだ。海馬は、成長したときにストレスホルモンを処理する部位だ。まだ検証段階だが人間の場合にも同様の効果があると見られている。p34

母親の大切さは至る研究で明らかになっています。これはまだラットの研究ですが、たぶん人間にも当てはまるでしょう。

トラウマが子どもに与える影響

子供時代の逆境(ACE)が与える影響についての研究があります。

ロバート・アンダさんとヴィンセント・フェリッティさんは1990年代に1万7千人の患者を対象として、子どもの頃のトラウマが与える影響について調査しました。(10項目の質問をし、そのうち3つが虐待について、2つがネグレクトについて、残りの5つは家庭内の深刻な問題で、例えば、DVを目撃した、両親が離婚した、家族の中に刑務所に入っている人や精神疾患のある者がいる、アルコール・薬物依存を抱える人がいる、などです)

その結果、子供の頃に経験したトラウマの数と、成人後にかかった内科疾患の間に相関関係が見つかりました。

トラウマの数が4つ以上ある人は、

  • ガンになる確率が2倍
  • 心臓病にかかる確率が2倍
  • 肝臓病にかかる確率が2倍
  • 肺気腫や慢性気管支炎になる確率が4倍

ということがわかりました。

病気以外では、

  • 喫煙者の割合が2倍
  • アルコール依存症になる確率が7倍
  • 15歳未満で生体験をする確率が7倍

となっています。

他にも、トラウマが0の児童のうち学校で問題行動を起こす子供は3%だけでしたが、4つ以上ある児童は51%にのぼります。

両親の口論が乳幼児に与える影響

生後6ヶ月から12ヶ月の乳幼児を対象に両親の口論が与える影響を、機能的磁気共鳴映像装置(fMRI)を用いて脳波を調べた研究があります。

その結果、

  • ほとんど口論をしない家庭の乳幼児→怒声に対して穏やかな反応
  • 頻繁に口論する家庭→感情、ストレス反応、自制に関わる脳の部位にはっきりとした反応

が見られることが分かりました。

小さい頃に両親の与える影響はかなり大きかったりします

「口論くらい・・・」と、口論を軽くみないほうがいいです。乳幼児にとってはそれが強いストレスかもしれないのですから。

1950年代にイギリス、カナダ、アメリカの研究者らが発見したところによれば生まれて最初の12ヶ月のうちに温かく気配りの行き届いた子育てを経験した子どもは、多くが親と強い結びつきを形成する。研究者たちはこれを「安定したアタッチメント」と名付けた。この結びつきによって、子どもの心に安心感と自信が深く根付く。心理学の用語でいう「心の安全基地」ができるのだ。これがあると、成長した時に自力で思い切って世の中の探検へと乗り出していけるようになる。そうした自信と自立は現実の世界で役に立つ。p53

1970年代にミネソタ大学で始まった長期にわたる研究によれば、一歳の時点で母親と安定したアタッチメントを築けた子供たちは、その後の成長で、集中力や好奇心が高く、レジリエンスも強く、高校を中退することなく卒業する確率が著しく高かったそです。

インセンティブを与える難しさ

どうしたら生徒の成績・出席率・卒業率などをあげることができるのか?

ハーバード大学の経済学者ローランド・フライヤーさんは貧困地域のあるアメリカの都市の公立学校に通う生徒を対象として、あらゆる種類の報酬制度(インセンティブ)を試してきました。

  • PTAの会合に出席した保護者
  • 本を読んだ生徒
  • 生徒のテストの点数を上げた教師

らに報酬を支払いました。

何百万ドルをつぎ込み、アメリカ史上最大の教育実験が行われました

その結果、

『インセンティブ・プログラム』は、ほぼ全てのケースで全く効果がなかった

ということが分かったのです・・・。

  • 教師に現金報酬→効果なし。生徒や教師の行動も変わらない
  • 生徒に現金報酬→効果なし
  • 教師・親・生徒に報酬→効果なし

なんなら、テストの得点が下がる場合もあったそうです。

だけど、ほんの少し得点が上がるケースもありました。それは・・・もともと成績のよい子供たちだけの現象だったそうです^^;

インセンティブを与えることで、生徒や教師や親のモチベーションをあげることはすごく難しいということです。

モチベーション(動機づけ)を考える

なぜインセンティブ設計がうまくいかないのでしょうか?

そもそもの話ですが、困難な環境で育った子供たちは、“良い教育を受けれる”だけでインセンティブが発生します。

なぜかと言うと、高校卒業した人は高校卒業しない人より、収入面、家庭面、健康面、犯罪面でメリットがあるからです。これは大学卒業者とそうでない人でも同じことです。

子供たちは当然ながらこのことを知っています。それなのに、さらなるインセンティブが与えられようとも、より良い決断をするわけではありません

「勉強しなさい!そうしたら良い大学に入れるから!」と言われても、なかなか勉強しませんよね?分かっていても、それをやるわけではない、私たちにはそういう心理があります。

インセンティブだけではモチベーションが上がるわけではないんですね。

“内発動機づけ”が大切

1970年代の心理学では、行動主義(褒美と罰に反応)するという考えが主流でした。つまり、「褒美を与えれば人は行動するでしょ」という考えです。

これに対して、エドワード・デシさんとリチャード・ライアンさんは、外的な報酬ではなく、「行動することによって得られる、内面的な楽しみや意義を動機として、人は決断を下す」と考え、これを『内発的動機づけ』と名付けました。

つまり、「内面から湧き上がってくる感情で人は行動しますよ」ってことです。

なら、内発的動機づけを維持するためには何が必要なのでしょうか?2人は次の3つを満たし続ける必要があると言います。

  • 有能感(私ってできるやつなんやで!)
  • 自律性(自分でコントロールする)
  • 関係性(人との関係性)

外的動機づけが必要な時

内発動機づけさえできてれば、人はモチベーションを保てるかというと、それはなかなか難しいです。

なぜなら、反復練習は飽きてしまうからです。

「何かを学び、何かについて詳しくなる」ためには、必ず反復練習が必要になります。その時に外発動機づけが重要になってきます。

デシとライアンによれば、こうした外発的動機づけを自分のうちに取り込むようにうまく仕向けられた子供は、モチベーションを徐々に強化していけるという。ここで心理学者は、人が求める三つの項目に立ち戻る。「自律性」「有能感」「関係性」である。この三つを促進する環境を教師が作りだせれば、生徒のモチベーションはグッと上がるというわけだ。p91

じゃあどうやって、そのような環境を作り出すかというと、次の通り。

  • 有能感:現在の能力をほんの少し超える課題を教師が与えるとき
  • 自律性:管理・強制されていると感じさせないとき
  • 関係性:教師に好感を持たれ、価値を認められ、尊重されているとき

これらの環境を作り出したときに、生徒のモチベーションは高くなります。つまり、教師の役割はめちゃめちゃ大切なのです!

逆に言えば、これらの条件が満たされないとき、物質的なインセンティブを与えられようと、罰が与えられようと、モチベーションを高めることはできません。

教師に新しい指標を

ノースウエスタン大学の経済学者キラボ・ジャクソンは、ノースカロライナ州の2005年から2011年のあいだのすべての9年生、46万4502人を追跡したデータから4つの数字、出席日数、停学回数、留年の有無、GPAを用いて、学校への積極的な関与具合(非認知能力の向上さ)を調べました。

ジャクソンの用いたデータの方が、テストの得点よりも、

  • 生徒が大学へ行けるかどうか
  • 大人になった時の収入
  • 逮捕されるかどうか

を、より的確に予測することができました。

そして、テストの得点よりも非認知能力を伸ばすことが得意な教師がいることもわかりました。

しかし、非認知能力を伸ばす教師は、現行の教師評価の尺度では評価されません。そこが評価されないとなると、テストの点だけをあげてボーナスをたくさんもらう教師の授業を真似てしまうかもしれないのです。

教師の評価尺度に『非認知能力を伸ばせるか?』という項目を考える必要があるとのことです。

まとめ

この記事では『私たちは子どもに何ができるのか』についてメモしてきました。

これからの教育で大切なことがまとまっている一冊だと思います。読みやすい本なので、是非とも手にとってみてください!

今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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