室伏選手は誰もが知っているように超一流のハンマー投げ選手でした。
日本記録はもちろんのこと、世界でも多数のメダルを取っているすごい選手であり、またスポーツ科学の研究者という意外な一面も持っています。
こんなスーパー人物ですが、どのような教育をされて育ったのかをご存知でしょうか?
今回の記事は『室伏選手を育てた教育環境』について書いていきます。
参考にした本は『ゾーンの入り方』です。(こっちのサイトでもゾーンの入り方についてはメモしています。→【読書メモ:ゾーンの入り方】室伏広治選手の考え方が詰まった最高の一冊!)
室伏広治選手がすごいのは才能?
私たちはこういうすごい人を見た時に「親がすごいんだろう」とか「才能でしょ」と簡単な言葉で片付けてしまいがちです。
確かに室伏選手のお父さんもハンマー投げの選手であり、ハンマー投げという意味では適した環境に育ったと思います。
実は体格的に不利
ですが日本人というハンデがハンマー投げの世界にはあります。
一般的に私たちから室伏選手を見れば、才能や体格に恵まれた選手だと思いますが、ハンマー投げの世界からすれば室伏選手は小柄になります笑
とても意外な話ですけど、あのごっつい室伏選手は小柄な部類に入ってしまいます。
だからこそ、室伏選手は筋肉を鍛えるだけではなく、“筋肉の使い方”など、様々なトレーニング方法を試行錯誤する必要がありました。
その結果、『オリンピックで金メダルを取る』という、日本人では不可能に思われた偉大な記録を樹立することができたのです。
なぜトレーニング法を試行錯誤できたのか?
さらっと「トレーニング方法を試行錯誤する必要があった」と書きましたが、普通の選手はそんなことしません。
指導者に聞いて、それを参考にする、程度だと思います。
室伏選手はそれだけではなく、自分で独自のトレーニング法を編み出し、そして結果を出したのです。
じゃあなぜトレーニング法を試行錯誤できたのか?
そこに室伏選手のお父さんの影響がありました。
選手に考えさせる教育
教育学的に見ても、室伏選手のお父さんは素晴らしい教育を行っていました。
私の父は、日常生活はともかく、コーチと選手という関係性においては、決してあれこれ細々と教え込もうとするタイプの指導者ではありませんでした。余計なことは言わず、黙って見守って、必要最低限のことだけを言う。指導者には「教える指導」と「教えない指導」の両方が必要だということを熟知しているコーチでした。p114
私たちが考える“いい先生”というのは、
- 教え方がうまい
- 板書が綺麗
- テストに出るところを教えてくれる
などですが、それはテストの点は取れるようになっても、“考える力”を身につけさせることはできません。
むしろ“考える力”を奪っているともいえます。
『教えること』、『教えないこと』のどちらもが教育には大切になりますが、今の教育は『教えること』に比重が偏りすぎています。
教えない→何を言わないかが大切
教えないと言っても、「まったく教えない!」というスタンスではダメです。
父は親として子どもに何かを強制する人ではなかったし、コーチとしても選手に指導を押し付けることなどしない人です。常に科学的で合理的な指導で、選手の自主性を尊重し、静かに見守る。「指導者は、何を言うかではなく、何を言わないかが大事」という考えで、基本的には必要最低限のアドバイスだけをするというスタンスでした。p121
指導者としてはついつい教えたくなってしまいます。
でも、それは良い指導者ではありません。
科学的で合理的な視点を持ち、必要なところは教え、あとは“静かに見守る”という室伏選手の父親の姿勢を、指導者は真似るべきだと思います。
子どもを信じる
ついつい口出ししてしまうのは、自分の子どもを信じれていないからです。
「この選手が伸びるためには何が必要か」を見極めつつも、あれこれ口うるさいことは言わず、選手自身が考え、気づき、成長できるような環境を与えようとしていました。p121
教育の目的は“自ら学び成長できる”ように育てることです。
そのためには『考える力』を養わなければなりません。
良かれと思って子どもに助言をしすぎることは、その子の成長を妨げていることだということを私たちは肝に命じておかないといけません。
まとめ
この記事では『室伏選手の父親の教育』について書いてきました。
この本の終盤で室伏選手はこのようなことを書いていました。
「父の記録を超え、五輪のメダルを手にすることもできたが、本当の意味で父を超えてはいない。まだ自分を超える人材を育てていない。」と。
室伏選手の父親もハンマー投げ選手としては一流でした。
自分の息子に超えられるまでは、日本記録も持っていました。
ですが、室伏選手の父親のすごかったところが、“自分を超える子どもを育てたこと”だったのです。
ダメな父親の代表的なものは「俺が叶えられなかった夢を叶えてくれ!」と、ゴリゴリに自分の思想を押し付けますが、室伏選手の父親はそんなことしていません。
『科学的で合理的な視点を持ち、必要なところだけを教えて、あとは子どもが自分で考えて成長できるように静かに見守る』という教育を徹底していたのです。
選手としても教育者としても一流だったんですね。
室伏選手の父親の教育をぜひ参考にしてみてください。
今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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