教育系の本を読むと必ずと言っていいほど出てくる名前がスタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエック博士。このページではドゥエック博士の『マインドセット』について紹介したいと思います。
*記事の内容を簡単に動画でまとめています↓↓↓
1 成長する子どもと成長が止まる子どもの違い
ドゥエック博士は40年以上、2つのことについて研究してきました。
- IQテストや能力テストで他の生徒と同じ成績でありながら、年々成長していく生徒と成長しない生徒がいるのはなぜか?
- 成績の悪い生徒たちのためにどんな手助けができるのか?
の2つです。
ドゥエック博士は、ある仮説を思いつきます。
- 成績の良い子は、失敗したとしても粘り強く努力するのだろう
- 反対に、成績の悪い子は、頭の出来の差が原因だから努力しても意味ないと感じているのだろう
この考えを検証するためにドゥエック博士らは、「無力感がある」と先生から指摘された小学生を対象に実験を行いました。
「無力感がある」と指摘された小学生らに『まったく歯が立たない問題』を与えました。予想通り小学生らはすぐに諦めました。そしてさらに悪いことに、以前は解けていた問題と同じようなレベルの問題を出題しても解くことができなくなっていました。固定マインドセットを持っていると『負け癖』みたいな症状が出てしまうのです😱
しかし、生徒たちに「その問題が解けないのは努力が足りないからだ」と認識させ、失敗や挫折をしても努力を続けるように教えると、生徒たちの成績が向上することが分かりました。
1.1 マインドセットの2つ
ドゥエック博士は、自身の理論を改良し『マインドセット』という用語を使うようになりました。多くの人は2パターンのマインドセットに基づき行動していると、ドゥエック博士は考えています。
- 固定マインドセット:人間の能力は決まっていて変えられないと考える
- 成長マインドセット:人間の能力は変化するものであり、努力によって高めることができると考える
1.2 固定マインドセットを持つ人は挑戦しない
固定マインドセットを持つ人は、成功が簡単に手に入らないことが分かれば挑戦しようとしません。そして状況が難しくなると失敗すること前提で行動してしまいます。
1.3 マインドセットの違いで学業成績を予測できる
ドゥエック博士らはニューヨーク市の中学校でマインドセットを確認するための実験を行いました。その結果、マインドセットの違いで学業成績の推移を予測できることがわかりました。
- 成長マインドセット:中学生活を通じて成績が上向きに推移
- 固定マインドセット:中学生活を通じて成績は平坦な推移
また、さらなる分析から、生徒が「知能とは努力によって高めることのできる性質を持つ」という考え方を支持しているほど、挫折してもくじけることが少なく、成績が上がることが分かりました。
2 成長マインドセットは作り出せる
ここで重要なことは、ドゥエック博士は「成長マインドセットは作り出せる」と考えているところです。実際、こんな実験から成長マインドセットが作り出されることを確認しています↓
在校生の97%が黒人かラテンアメリカ系という学校に通学する中学1年生に、8週間の実験プログラム(毎週25分間を設けて特別な訓練を受けた研究助手から、勉強法と脳の生理機能についての話を聞く)に参加してもらいました。プログラムに参加した生徒らは、プログラムに参加していない生徒に比べて成績の向上が見られました。
研究から分かった、成長マインドセットを作り出すためのポイントについて以下にまとめていきます。
2.1 知能は筋肉のように鍛えられることを説明する
「知能というものは生まれつきのものではなく、筋肉のように刺激を与えてあげれば鍛えられる」ということを説明します。その際、脳の神経細胞が学習によって刺激されている映像などを見せてあげるのも効果的です。
2.2 才能ではなく努力をほめる
才能(能力)をほめると人間はモチベーションが下がります。そのため才能(能力)をほめるということは硬直マインドセットを育んでしまうのです😱
努力をほめることは教育中の基本中の基本です。
>子どもを褒めて育てても大丈夫?正しい褒め方について紹介します
子どもが何かに挑戦して成功した時は、以下の3つをほめてあげてください。
- 努力(コツコツがんばったね!)
- 戦略(目標の立て方がいいね!)
- 選択(いい選択をしたね!)
2.3 努力をほめるだけでなく目標も決める
努力をほめるだけでは成長マインドセットを育てるには不十分です。目標(ゴール)も決めて、その目標に向かって自分の努力が実っていることを把握できるようにしてください。そうすることでさらに子どものモチベーションは上がります。
2.4 成功した結果はきちんと認めてあげる
「能力より努力をほめよう!」なのですが、「結果は無視でOK」というわけではありません。子どもが挑戦し、なにかを成し遂げた場合はちゃんと努力の成果を認めてあげましょう。
2.5 「これは成長か?」を問いかける
人は場面によって無意識で成長マインドセットと固定マインドセットを使い分けています。例えば「勉強は努力でできる!」と思っているのに、「運動は昔っから能力がないなー」というふうに。
ドゥエック博士は『成長モード』に意識的に切り替えることをオススメしています。
- 今日は何を学びたい?
- 今日は何を教えたい?
- 他人にどんな影響を与えたい?
などなど。
成長マインドセットを常に持とうとする意識が大切なのですね。
おわりに
ドゥエック博士のマインドセットについて書いてきました。
親として、教育者として「子供の成長マインドセットを育もうとする!」という意識は必要だと思います。ぜひぜひドゥエック博士の考えを参考にしてみてください。
それでは!
*参考にした本
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