子どもの成長を阻む『ステレオタイプの脅威』の対処法

子どもの成長を阻む『ステレオタイプの脅威』の対処法 教育
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『ステレオタイプの脅威』という概念があります。これはクロード・スティール博士らが研究により見出した概念で、『その人の属する集団についてもたれている否定的なステレオタイプが、その人の実力に影響を与える』というものです。

 

例えば、

  • 白人の方が黒人よりも頭がいいよね
  • 男性の方が女性よりも理系科目が得意だよね

といったものがステレオタイプの脅威です。このようなステレオタイプの脅威によって、

  • アフリカ系の子どもたちの方が学業成績が振るわなかったり、退学が多い
  • 女子生徒の方が数学や物理、化学などを避けがち

といった影響が出てきます😱

 

ステレオタイプの脅威を乗り越えるための方法は昔記事にしたことがありましたが、今回あらためて記事を書いていきたいと思います。

生徒の成績を上げる『小さな介入』の効果→信頼関係の構築

 

*記事の内容を簡単に動画でまとめています↓↓↓

子どもの成長を阻む『ステレオタイプの脅威』の対処法
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1 ステレオタイプの脅威の対処法

スティール博士らはこんな実験を行いました。

プリンストン大学の黒人学生と白人学生を集めて、大学院進学適性試験の言語に関する難問をいくつか出題しました。そして以下のことを伝えます↓

 

  • 一方の学生には「知能を測るためのテストだ」と伝える
  • もう一方の学生には「知能とは関係なく、問題解決能力を測るための新しい未検証のテストだ」と伝える

 

その結果がこちら↓

 

  • 白人の学生の場合には、2種類の説明がされてもほとんど違いは見られなかった
  • それに対して黒人学生の場合、テストの結果が良かったのは、知能とは関係ないと伝えられた学生たちでした

 

この結果について、研究者らはこのように考えています↓

その理由がおそらく、そう言われることで、ステレオタイプにもとづく予測について懸念することから免れて、目の前にある作業にすべてのエネルギーと注意をつぎ込むことが可能になったからだろう。p293

 

  • 黒人・ヒスパニック・社会経済的な地位の低い子どもたちが知的能力を測るテストを受けるとき
  • 女性たちが数学や推論能力を測るテストを受ける時

など、今では数十もの実験からステレオタイプの脅威でマイナスの効果を受けることが実証されています

1.1 学校でどのようにステレオタイプの脅威を取り除けばいいのか?

学校現場で「これから受けるテストは知能とは関係ありませんよ!」と伝えるのは容易ではありません。子どもたちは『なんのためのテストなのか?』を十分すぎるほど知っているからです。

 

スティール博士らは、ステレオタイプの脅威に対処する方法を見つけ出そうとしました。そこでもっとも見込みのある手法が『自己肯定』に関わっていることが分かりました。

1.2 自己肯定がステレオタイプの脅威の対処法になる

ステレオタイプの脅威そのものとは関連性のない次元において、自尊心を強化することが、ステレオタイプの脅威の対処法になります。

 

子どもたちに、自分にとって個人的に重要な具体的な価値を書き出してもらいます。例えば、

  • 友情
  • 家族
  • 宗教
  • 世界を良くするこ

などです。そしてそれらが、自分の生活においてどういう役割を担っているかについて文章を書かせて、自分の重要な価値と接する時間が設けられました

 

これについて、ジェフリー・コーエン博士らが、3つの中学校で自己肯定の介入がもたらす効果を検証しました。生徒たちは、一年の間に、自分にとって重要である個人的な価値を肯定する文章をいくつも書きました。その結果、次のことが分かりました↓

 

  • 黒人生徒の成績が向上
  • 白人の生徒の成績は変わらない
  • 黒人生徒と白人生徒との間の成績の差が40%縮まった
  • 留年させられる、または補習を受けなくてはならない黒人生徒の数が9%から3%に低下した

 

つまり、ステレオタイプの脅威に直面している集団に対して有益な結果をもたらすことが分かりました。この研究以外にも多くの研究で効果が実証されています。

1.3 賢いフィードバックがステレオタイプの脅威に面している生徒を助ける

人種的、または社会経済的に異なる生徒たちに対してフィードバックを与えるとき、『当たり障りのないほめ言葉』をするのが一般的です。しかし、そのような指導では子どもの能力を伸ばすことはできません。

 

『当たり障りのないほめ言葉』を使うことで、指導者は責められるリスクを回避することができますが、生徒からは「この先生は自分には興味がないんだ」と捉えられることもあります。

 

これについての対処法が『賢いフィードバック』と呼ばれるものです。賢いフィードバックは↓のようなものです。

  1. 生徒のやり方を正直に評価する(欠点の指摘や向上を促すことも含めて)
  2. 高い水準に照らして判断しているということを明確に伝える
  3. そして、生徒がその高い水準に到達することができると指導者が確信していることも伝える

 

実験によると、賢いフィードバックを受けた中学1年生の生徒は、

  • レポートの書き直しを求められた場合、その指示を受け入れた割合が7%から71%に増加
  • レポートの質が上がる
  • 白人の生徒よりも、アフリカ系の生徒の方に効果がある

ということが分かりました。

おわりに

ステレオタイプの脅威は非常にやっかいなものですが、いくつか対処法があります。簡単にまとめると以下の通り↓

  1. 自分の重要な価値観と接する機会を設けること
  2. 子どもに期待を寄せていることを明確に伝えること

 

黒人やら白人やらの人種間の問題は日本では理解しづらいかもしれませんが、『少数派の生徒を助ける』という意味で参考になる話かと思います。参考までに。それでは!

 

*参考にした本

 

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