脳はいつまでたっても鍛えられることはご存知でしょうか?
20歳を過ぎたら脳細胞は死んでいくだけと思い込んでいる人もいるかもしれませんが、現代科学ではこれは明確に否定されています。
つまり何歳からでも脳を鍛えていくことができるのです。
ということで、今回の記事では『脳を鍛えてやり抜く力を育む』ということについて書いてきます。
今回の記事もアンジェラ・ダックワースさんの著書『GRIT やり抜く力』を参考にしています。
前回の記事では『やり抜く力の伸ばし方』について書いてきました。
合わせて参考にしてみてください⇨やり抜く力の伸ばし方
変わり続ける脳
私たちの脳は常に変わり続けています。
新しいことを学べば、新しい脳の神経回路がつながっていきます。
最近では有酸素運動をすることで、脳の構造自体が変わってくることも分かってきました。
簡単に言えば、プラス思考になるということです。
他にも有酸素運動(ランニングなど)がもたらすプラスの効果は多くの研究で示されており、
- 脳細胞が成長するタンパク質が出る
- ストレスが軽減する
- 抗うつ薬よりうつ病に効く
- 認知症予防になる
などなど、面白い研究成果がたくさん報告されています。
IQは一定ではない
科学雑誌ネイチャーで発表された研究によると、青年期の脳の発達(14歳〜18歳の4年間)で、IQのスコアが向上することが分かっています。
誰でも一度はIQのテストを受けたことがあると思います。
もし中学生の時に受けて、自分のIQのスコアが高くないことにショックを受けた経験があるかもしれませんが、高校生の時にテストを受け直したらIQスコアが向上している可能性は十分になるのです。
脳というものは筋肉と同じで、鍛えることが可能なんです。
「そもそも歳をとったら筋肉なんて鍛えれないでしょ?」という人もいるでしょうが、ダウンタウンの松本人志さんをご覧になってください笑。
歳をとると筋肉が鍛えられないというのは、固定観念であって、幾つになっても筋肉は鍛えることができるのです。
それと同じように、歳をとったら脳細胞は死んでいくだけだという考えも固定観念です。
固定思考と成長思考
固定思考と成長思考、どちらかの思考法を私たちはしています。
あなたはどちらでしょうか?
- 知的能力は人の基本的な性質であり、ほとんど変えることはできない。
- 新しいことを学ぶことはできるが、知的能力じたいを向上させることはできない。
- もともとの知的能力のレベルにかかわらず、かなり向上させることができる。
- 知的能力は常に向上させることができる。引用 GRIT p240
最初の2つに賛成し、後の2つのコメントに反対した場合は、あなたは『固定思考』と考えられます。
これと逆だった場合、あなたの考え方は『成長思考』と考えられます。
この思考法の違いはやり抜く力に対して違いが出てきます。
挫折の経験をした場合、固定思考の人は、「自分には能力がない」と解釈し、成長思考の人は「努力すれば次はできるようになる」と解釈します。
成長思考を持つ生徒は、固定思考の生徒たちに比べて『やり抜く力』が強いこともわかっています。
つまり、成績が良く、高校の卒業率も高く、大学の進学率も高かったのです。
子供の褒め方で思考が変わる?
子供の褒め方と聞けば、中室牧子先生の『学力の経済学』を思い出しますね。⇨子どもは褒めて育てるべき?正しい褒め方について紹介します
成長思考になるか、固定思考になるかは、子供の時の周囲の人々、特に親や教師などの権威を持つ立場の大人がどのように接したかによって決まってきます。
例えば、「才能があるね」と才能を褒めるパターンと、「よく頑張ったね」と努力を褒めるパターンで違いが出てくるのです。
アメリカの特別認可学校『KIPP』では才能を褒めるよりも、努力と学習を褒めることを、教員養成の明確な方針として定めています。
アメリカではこのような具体的な取り組みがされているところに感心しますよね。
GRITのp243にある成長思考を妨げる表現・成長思考を伸ばす表現を引用します。
成長思考・やり抜く力を妨げる表現 | 成長思考・やり抜く力を伸ばす表現 |
才能があるね | よく頑張ったね |
まぁ、挑戦しただけえらいよ | 今回はうまくいかなかったね。一緒に今回の方法を見直して、どうやったらもっとうまくいくか考えてみよう |
よくできたね!君はすごい才能を持っている | よくできたね!もう少しうまくできたかもしれないと思うところはあるかな? |
これは難しいね。できなくても気にしなくていいよ | これは難しいね。すぐにできなくても気にしなくていいよ |
これは君には向いてないのかもしれない。でもいいじゃないか。君には他にできることがあるよ。 | もうちょっと頑張ってみようか。一緒に頑張れば必ずできるから |
人を指導する立場にある人は、このフレーズを頭に入れておかないといけませんね。
知らず知らずに相手の脳に固定思考をインストールさせる恐れがありますから。
才能より努力を見てあげることについては、こちらの記事も合わせて読んでみてください⇨才能を評価することの悪影響
固定思考をもたらす環境
子供を固定思考にさせてしまう事例がいくつか報告されています。
- 教師が成績の良い生徒たちを特別扱いし、他の生徒よりどれだけよくできたかを強調したクラスでは、生徒たちに固定思考が植えつけられ、「頭の良さはもともと決まっているもので、ほとんど変わらない」というコメントに賛同する確率が高くなりました。
- 子供がミスをした時に、親が「ミスをすることは悪いことだ」という態度を示した場合、子供が固定思考になる確率が高いことがわかっています。
こういうちょっとした言動が、子供の思考を固定思考にさせてしまうことがあると思うと、怖いですよね。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回の記事では『やり抜く力と脳の関係性』について書いてきました。
脳というのは常に変わり続けるので歳を取っても、学び運動することで脳を鍛えることができます。
また、思考を大きく分けると、成長思考と固定思考に分けることができます。
子供の思考を成長思考にするのか、固定思考にするのかは、周りの大人、特に親や教師といった権威を持つ大人の影響を強く受けます。
やり抜く力を育みたいのであれば、子供への言動は気をつけて下さいね(`・ω・´)”
今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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