知識じゃないのか?成績を上げるために必要なのは知識だろ!そんな声を聞きそうなのですが、あえて言いましょう。成績、いや、学習で大切なのは『観察力』です。
もちろん知識も大切ですが、「覚えていれば」とか「知っていれば」とかで解ける問題って案外少ないのですよ。もちろん、小学生、中学生までは知識量がものをいいますが、大学受験ともなれば、知識だけでは解決できない問題が多々あります。
と言うことで、今回の記事では『観察力』の重要性について書いていきたいと思います。
なぜ観察力が必要なのか?
観察力がなければ、解ける問題も解くことができません。よく言われる『ケアレスミス』が観察力の無さが引き起こすものです。
分かってたのに、気がつかなくて解けなかった。
受験生であれば、誰しもが経験したであろう苦い思い出なはずです。出題者も誰もが解ける知識だけに頼った問題をホイホイと出すわけではありません。ちょっとヒネって出すのが出題者です。
知識があっても、その知識を使えなかったら全くの無意味になってしまいますよね?それでは宝のもちぐされ。勿体無いだけです。
1:なぜ気がつかないのか?
ケアレスミスはようは『見落とし』によって引き起こされることです。だけど、『見落とし』を発見する力ってなかなか鍛えることが難しいのですよ。なんと言ったって気がついてないんですから。
今まで気がついていなかったものを、気がつくようにするにはどうしたら良いのでしょうか?それについて考えてみたいと思います。
2:観察力を鍛えることは難しい
観察力を鍛えることはとても難しいことです。と言うのも『知識』と違って『観察力』は教えることができないからです。
『知識』であれば、
- 紙に書いて伝える
- 口で喋って伝える
こともできます。
しかし『観察力』については「見落としがないように気をつけなさい」としか伝えられません。教えてもらうことができない以上、自分で習得していくしかありません。
気がつくための条件
何かに気がつくには、条件が2つあります。
- 普通とは違うもの
- 意識しているもの
の2つです。
それぞれ見ていきましょう。
1:普通とは違うもの
人間は普通とは違うものに敏感です。例えば、黒髪が多い日本なのに、金髪がいたら気がつきますよね?駐車場に赤いスポーツカーがあれば、嫌でも目につきますよね。(これは生物が生き残るために進化した感覚です。普通とは違う=危険かもしれない)
逆にいえば、『普通のもの』には気がつくことができません。ということは、『普通と違うもの』に気がつくためには、『普通って何?』を知っておかなければなりません。
例えば数学を全く知らない人が微分方程式がちょっと変形された式を見ても「ナニコノ式は・・・」となりますが、微分方程式を知っている人が、ちょっと変形された式を見たら、「あ、これ微分方程式に似てるな!」と気がつけるのですね。
つまり『普通』とは、『基本知識』のことで、この基本知識が無ければ普通なのか普通でないのかを見分けることができません。
2:意識しているもの
普段から意識しているものについては、変化を感じることができます。例えば、好きな人が髪を切れば気がつきますよね?普段から意識している人や物の変化については気がつくことができます。
これは勉強も一緒で、あらかじめ意識(注意)しているものには気がつくことができます。
- よくあるひっかけ問題
なんかがそうですね。でも、これに気がつくためにも『普通のもの』を知っておかなければなりません。
観察力の鍛え方
観察力、つまり『気がつく能力』を高める方法はあります。しかし、これは知ったからといって急に鍛えられるわけではありません。だから筋トレやダイエットと一緒で、日々の生活の中で意識して継続することが大切です。
1:常識を疑う癖をつける
ノーベル賞を取った人が口を揃えていうことですが、
『常識を疑え』
です。
疑う癖をつけていないと、与えられた情報に対して鵜呑みになってしまいます。例えば、ある学生が英語の辞書を持ってきて、「ここの訳なんですけど、辞書には意味がこう書いているのに、答えの訳はちょっと違うんですけど・・・。」と質問をしてきたとします。
同じような経験があるのではないでしょうか。英語の勉強をしていて、辞書に書いてある単語の意味と参考書に書いている和訳では、ちょっとした違いがあり、困惑した経験がある人も多いはずです。
じゃあこれは辞書が間違っているのでしょうか?それとも参考書の和訳が間違っているのでしょうか?
人は『辞書に書いてあること=正しい』と思い込んでいます。
もちろん辞書に書いてあることは概ね正しいです。しかし『概ね』であり、『絶対』ではありません。もし辞書に書いてある意味が全て同じなら、英語の辞書って1つでいいじゃないですか。
でも、英語の辞書ってたくさんありますよね?単語の意味を比べると少しずつ辞書によって違います。これは英語の辞書だけのことではありません。
歴史の教科書は新しい事実が出るたびに変わっているのはご存知でしょうか?私たちが中学生の時に学んだことと、今の中学生が学んでいることは全て同じではありません。(例:聖徳太子がどうのこうのとか調べてみればわかるはずです)
この例の典型的な話としては『天動説』と『地動説』ですね。今の私たちは太陽を中心として地球が回っていると知っていますが、その昔は地球を中心として太陽が回っているとされていました。それが常識とされていたのです。そして、その常識に逆らおうとするものなら火あぶりの刑が待っていました😱
さすがに科学が進歩した今ではそこまで大きな違いはありませんが、今の常識とされていることは『概ね正しいこと』であり、『絶対的に正しいこと』ではないということを知っておかなければなりません。
2:常識を信じすぎると思考停止になる
何の疑問を抱かずに、ただただ与えられた情報に対して「なるほど〜」と思っていることは『思考停止』を意味します。もし、知的に生きたい、成績を伸ばしたい、人生を豊かにしたい、と思うのであれば、思考停止状態を避けなくてはなりません。
思考とは人間と動物を分ける特質です。動物のように、『食べる・寝る・繁殖する』の人生を送りたいのであれば別ですが😅大切な我が子には、素晴らしい人生を歩んで欲しいと親御さんは思うはずです。
新聞やニュースなどで報道される、ブラック企業で過労死するまで働き続ける人の話題を聞いて、「なぜ死ぬまで働き続けるんだ?何でその仕事を辞めないんだ?」と思ったことはないでしょうか。過労死するまで働く人は、『思考停止状態』に陥っています。
『会社で働くことは当たり前』という常識に縛られ、思考を止めることで、このような悲しい結果が起こっています。(過度のストレスが慢性的に続くと、思考に回すエネルギーがなくなってしまう)
「常識を疑うなんてめんどくさいことは考えないで、暗記だけしてテストの点をあげればいいんだ!」という思考停止の教育は、人々の自立性と独自性を奪い、ただただ機械の歯車の一部のような人間に育ててしまいます。
3:答え探しをやめる
観察力を養うための大切なことは『答え探しをやめる姿勢』です。先ほども書きましたが『絶対的な正しさ』なんてありません。もちろん、学生のうちのテストでは正しさがあります。
しかし、現実社会において絶対的に正しい答えなんてものはありません。
- どこの会社に就職するのか?
- 誰と結婚するのか?
- 家を買うのか賃貸にするのか?
などに絶対的な正解などありません。
そんな社会に放り出される前に学生として行っておくべきことが、
『できるだけ正しそうな答えを選び出す力』を養うこと
です。
「答えなんてそもそもないんだ。だから与えられた条件と情報で、できるだけ正しそうなものを選ぶんだ!」という姿勢が大切なのです。つまり、答え探しをやめることであり、観察力を身につけることが大切なのですね。
これが学生のうちのテストとどう関係があるんだ?と言われてしまいそうですが、大アリです。例えば、問題で分かっているものであれば、すぐに答案用紙に答えを書くことができるでしょう。しかし、分からないない問題であったり、ちょっと迷う問題であったら、どうするべきでしょうか?
選択問題であれば、『正しそうな選択』をするべきだし、記述問題であれば『△でもいいから、1点でも多く点数をとる』ことが重要になってきます。
「この問題分からない!もうやめた!」ではなくて、「この問題分からないなぁ。でもとりあえず手がかりを見つけて、そこから考えてみよう」という姿勢が大切です。ですから、答え探しをするのではなく、手がかりを見つける習慣をつけましょう。
特に、学生が解くテストには必ず答えがあり、そこには手がかり(ヒント)が絶対に潜んでいます。この手がかりを見つけることができるかどうかが受験の合否を決めることになります。
『なんとなくこの問題は解けたor解けなかった』ではなくて、『この手がかりを見つけることができたから解けたor手がかりには気づけたけど、その手がかりを活かすことができなかった』と言語化できるまで観察力を鍛えましょう。
おわりに
今回の記事では『観察力』の重要性について書いていきました。なかなか難しいことを書いてきたので、一度読んだだけでは頭にすんなり入ってこないと思います。でも、重要なことを書いたと思うので頭に入るまで再読してもらえたら幸いです。
それでは今回の記事を簡単にですがまとめます。
- 人は『普通とは違うもの』と『意識しているもの』にしか気がつくことができない
- 前提としてどの教科においても『普通』の知識を知っておかなければ、『普通とは違うもの』に気がつくことができない
- 観察力というものは筋トレと同じように、すぐには身につくものではない
- 観察力の鍛え方は、日々の生活に『疑問』を持つことから始める
それでは!
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