心理学の世界では「自尊心よりセルフコンパッションの方が大切だ!」と言われるようになってきています。というのも、自信の度合いが高くても、これといったメリットがないことが科学的に分かってきたからです。
- 自尊心の度合いが高くても、仕事の能力が高いわけではない
- 自尊心の度合いが高くても、リーダーシップが高いわけではない
- 自尊心の度合いが高くても、暴力的な傾向は低下しない
- 自尊心の度合いが高くても、酒やタバコや薬物に走るのも止められない
というようなことが分かっています。(→自尊心を高めることによって、なんらかの社会的利益が得られるというような証拠がはほとんど見当たらない)
自尊心の度合いが高いメリットは、「自分が有能であると思い込みやすく、自尊心がない人よりは幸福度が高い」くらいしかありません。ですが逆に、他の人からは嫌われやすいというようなデメリットもあります。「自分のことを有能な人間であるという勘違いさん」は、うざったいだけですもんね😅
そういった経緯もあって、「自尊心よりセルフコンパッションだ!」なんてことが言われております。セルフコンパッションを簡単に説明すると、「自分に優しくしてあげよう」という概念です。自分に優しくできるからこそ、
- チャレンジできる
- 幸福度が高まる
- ポジティブな感情を持ちやすい
などの恩恵を受けることができます。ということで、セルフコンパッションの度合いが高めるような教育が、子どもには必要なのですね。しかし、子どものセルフコンパッション度合いを下げるような教育をしちゃう親がいます。今回の記事ではそのことについて書いていきます。
*参考書籍
1 批判的な親は子どものセルフコンパッションを弱める
子どもの頃に、批判的な親のもとで育った場合、成人しても自分に対して批判的である傾向があることが分かっています。
批判の例↓
- そんな成績だと、どこの大学にも入れないよ
- お前は豚のように食事をするな
親の言葉を自分の中深くに内面化してしまい、頭の中で批判の声が鳴り響くのです。
1.1 批判的な親は子どもをコントロールしようとする
批判的な親は、『子どもを自分の思い通りの人間に育てることができる』と思っています。そして、
- 子どもが望ましくない行動をした場合→罰する
- 子どもが望ましい行動をした場合→誉める
というように教育していきます。
このような親の態度に子どもたちは、「自分は完全な存在になる以外に愛される資格はない」と信じるようになります。しかし神様でもない人間が、完全な存在になることなんてできません。ですから、完全な存在になることが不可能であることを知ると、子どもたちは親から拒絶される未来を思い描くようになります。
そのような親のもとで育った人は、セルフコンパッションを学び、自分に優しくできる能力を育んでいきましょう。セルフコンパッションを鍛える方法についてはこちらの記事を参考にしてみてください↓
2 子どもを批判しない親になるために
批判的な親にならないためには、どうすればいいのでしょうか。それは「自分に優しくしてあげること」です。つまり、親自信がセルフコンパッションを学んでいけばいいのです。
2.1 自分自身を批判しすぎてはダメ
自分自身を批判しすぎてはダメです。子どもの前では特にダメです。なぜなら、「間違えた時には自己批判することが適切な反応である」ということを、子どもに伝えているようなものだからです。
この問題を見過ごしている親は多い。おそらく、自分の子供に対しては間違いを犯しても、優しくあろう、支持的であろうと注意しているつもりなのだろう。ただ、あなたが失敗したときに自分を酷評すれば、あなたは子供たちに間違ったメッセージを伝えることになるだろう。p203
2.2 セルフコンパッションを鍛えるエクササイズ
この本には、セルフコンパッションを鍛えるエクササイズが紹介されています。その1つを紹介します。
- 1日の終わりに親として犯した失敗について考える
- 自分が過ちを犯す人間であることを認める
- 自分と似たような状況に置かれた親友に接するように、優しさと理解を持って自分に接する
- 次に、状況を修復するためにできることはないかどうかを考える
- 子どもたちに謝ること?埋め合わせをすること?
- 続いて、自分の行動の裏につらい感情が潜んでいないかどうかを考える
- 感情的な苦痛があるならば、慈悲の心を向ける(子どもの親であると言うことは困難を伴うこと)
おわりに
現代を生きる上で、セルフコンパッションは必須科目なのではないかと思います。ストレスフルな生活の中で、心を穏やかに過ごすためには「自分に優しくする技術」が必要不可欠かと。
そしてその技術が、自分のためにも、子どものためにもなるのですから、学んで損はないかと思います。子育ての参考までに。それでは!
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