DNAとは?中学生にもわかるように遺伝子・染色体・ゲノムとの違いを解説

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「DNA鑑定」「親から受け継いだDNA」。DNAという言葉は、なんとなく意味がわかる気がします。

でも、いざ「DNAって何?」と聞かれると、うまく言葉にできない。私も昔はそうでした。DNAと遺伝子をほとんど同じものだと思っていて、理科で聞いた記憶はあるけれど、頭の中ではずっとふわっとしたままだったんです。

この記事では、DNAとは何かを中学生にもわかるように整理します。専門用語を全部覚える必要はありません。DNA・遺伝子・染色体・ゲノム、この4つの関係がざっくりつかめれば十分です。

DNAとは、体をつくるための情報

DNAが体をつくるための情報を持っていることを説明書のイメージで表した図

DNAとは、体をつくるための情報を持っているものです。

よく「DNAは体の設計図」と言われます。これはなかなかいいたとえです。家を建てるときに設計図が必要なように、体をつくるときにも情報が必要で、その情報を持っているのがDNAだ、というわけです。

ただし、DNAだけで人間のすべてが決まるわけではありません。この点はあとで詳しく触れますが、まずは「DNAは人生を全部決めるものではなく、体をつくるための大切な説明書くらいのもの」と思っておいてください。

DNAは細胞の中にある

DNAが体をつくるための情報を持っていることを説明書のイメージで表した図

DNAは、体のどこか一か所にまとめて置かれているわけではありません。基本的には、細胞の中にあります。

人間の体は、皮膚も筋肉も内臓も、細かく見ればすべて細胞の集まりです。その細胞の中に「核」という場所があって、多くのDNAはこの核の中に入っています。

たとえるなら、細胞は小さな部屋で、核はその中にある大事な金庫。その金庫の中に、DNAという大切な情報がしまわれているイメージです。

ちなみに、細胞の中にはエネルギーを作る「ミトコンドリア」という場所もあり、そこにも少しだけDNAがあります。ただ最初は、「DNAの多くは核の中にある」とだけ覚えておけば大丈夫です。

DNAは4種類の文字でできている

DNAがA・T・G・Cという4種類の文字の並びで情報を持つことを示した図

DNAは、長い文字の並びのようなものです。その文字にあたるのが、A、T、G、Cの4種類です。

それぞれに正式な名前がありますが、最初から全部覚えなくてかまいません。「DNAは4種類の文字でできている」だけで十分です。

大事なのは、その並び順です。

たとえば「ねこ」と「こね」は、同じ文字を使っているのに、順番が変わると意味も変わりますよね。DNAもこれに似ていて、A・T・G・Cがどの順番で並んでいるかによって、体の中で何を作るかが変わります。

つまりDNAは、ただの文字の集まりではなく、順番に意味がある情報なんです。

DNAと遺伝子は同じではない

DNA全体の中に遺伝子があることを本と章のたとえで示した図

ここが、いちばん混乱しやすいところです。

DNAと遺伝子は、同じ意味ではありません。

DNAは、遺伝情報を持った長いもの。遺伝子は、そのDNAの中にある、特定の働きに関わる一部分のことです。

たとえるなら、DNAは一冊の長い本。その中には、体をつくるためのいろいろな説明やレシピが書かれていて、その一つひとつのまとまりが遺伝子です。

だから、遺伝子の中にDNAがあるのではありません。DNAの中に遺伝子があります。

ここを逆にしないだけで、このあとの話がぐっとわかりやすくなります。

DNAと染色体とゲノムの違い

DNA、染色体、ゲノムの違いを本・コード・本棚のたとえで整理した図

DNAの話には、染色体やゲノムという言葉もついてきます。ここで一度整理しておきましょう。

まず、染色体。これは、DNAを細胞の中にしまいやすい形にまとめたものです。

DNAはとても長いので、そのままだと細胞にうまく収まりません。長いイヤホンのコードをそのままポケットに突っこむと、ぐちゃぐちゃに絡まりますよね。だから、きれいにまとめてしまう。DNAも同じで、細胞の中でコンパクトに折りたたまれています。その折りたたまれた形が染色体です。

人間の多くの細胞には、染色体が23対、合計46本あります。父親から受け継いだものと母親から受け継いだものが、ペアになっているイメージです。

次に、ゲノム。ゲノムとは、その生き物が持っている遺伝情報の全体のことです。

DNAが「情報の書かれた本」だとすると、ゲノムは「その生き物に必要な本がぜんぶそろった本棚」のようなもの。ざっくり言えば「その生き物が持つDNA情報の全体」ですが、DNAが情報の書かれているものを指すのに対して、ゲノムはその全体をまとめて見たときの呼び方、という違いがあります。

ここまでを表にすると、こうなります。

言葉ざっくり言うとたとえるなら
DNA遺伝情報を持つもの文字の書かれた長い本
遺伝子DNAの中の一部分本の中の章やレシピ
染色体DNAをまとめた形折りたたんでしまったコード
ゲノム遺伝情報の全体本棚まるごと

まずは、この表のイメージで覚えれば十分です。

23対の染色体は、全部が同じ内容のコピーではありません。1番染色体、2番染色体、3番染色体……というように、それぞれ入っている情報が違います。ただし、同じ番号の2本はペアになっていて、父親から受け継いだものと母親から受け継いだものです。見た目は似ていますが、細かいDNAの並びには少し違いがあります。

同じDNAなのに、細胞の働きが違うのはなぜ?

同じDNAを持つ細胞でも使う遺伝子が違うことで働きが変わることを示した図

少し不思議な話をします。皮膚の細胞も、筋肉の細胞も、肝臓の細胞も、基本的には同じDNAを持っています。

それなのに、なぜ働きが違うのでしょう。

答えは、使っている遺伝子が違うからです。

同じ料理本を持っていても、開くページが違えば、カレーを作る人もいれば味噌汁を作る人もいます。細胞もこれと同じで、皮膚の細胞では皮膚に必要な遺伝子が、筋肉の細胞では筋肉に必要な遺伝子が、それぞれよく使われます。

同じDNAでも、どの部分を使うかが違う。だから、細胞ごとに働きが変わるんです。ここが、体のしくみのおもしろいところだと思います。

DNAだけで全部が決まるわけではない

DNAだけでなく食事や睡眠、運動なども体に関係することを示した挿絵

DNAは、体のいろいろな特徴に関係します。髪質、目の色、血液型、体質、病気のなりやすさなど、DNAが関わるものはたくさんあります。

ただし、これらがDNAだけで決まるわけではありません。

たとえば身長。遺伝が関係するのはたしかですが、食事や睡眠、運動なども大きく影響します。病気のなりやすさも同じで、DNAが関わることはあっても、食生活やストレス、年齢といった要素が重なって決まっていきます。

つまり、「このDNAを持っているから、必ずこうなる」とは言えないんです。

DNAは大事。でも、DNAは運命そのものではありません。このくらいの距離感でとらえておくのが、ちょうどいいと思います。

親子のDNAやDNA鑑定は、少し別の話

DNAについて調べていると、「人間同士のDNAはほとんど同じ」「親子はDNAを半分共有する」といった話にも出会います。

これは、少しややこしい話です。「人間同士でどれくらい似ているか」と「親からどれくらい受け継いだか」では、そもそも見ているポイントが違うからです。

この記事ではそこは深掘りせず、DNAという言葉そのものの理解を優先します。「人間同士のDNAは99.9%同じなのに、親子は50%同じってどういうこと?」という話は、別記事でくわしく整理しています。
→親子のDNAは50%同じ?人間同士99.9%との違いを中学生にも簡単にわかるように解説

もうひとつ、DNA鑑定について。DNA鑑定は、DNAのすべてを見るわけではありません。人によって違いが出やすい部分だけを調べて、個人の識別や親子関係の確認に使います。

スマホのバッテリー診断に少し似ています。バッテリーの状態の目安はわかりますが、それだけでスマホの使い心地が全部わかるわけではない。DNAも同じで、大切な手がかりではあるけれど、その人のすべてがわかるわけではないんです。

まとめ

DNAとは、体をつくるための情報を持っているものです。A・T・G・Cという4種類の文字のようなものが並んでいて、その順番に意味があります。DNAの多くは、細胞の核の中にあります。

そして、いちばん大事なのは「DNA=遺伝子」と覚えないこと。整理すると、こうなります。

  • DNAの中に、遺伝子がある
  • DNAがまとまった形が、染色体
  • その生き物が持つ遺伝情報の全体が、ゲノム

この関係がわかるだけでも、DNAの話はずいぶん理解しやすくなります。

DNAは、自分の体を知るための大切な手がかり。でも、自分のすべてを決めつけるものではありません。完璧に暗記しようとするより、まずは言葉どうしの関係をほどいていく。それだけでも、十分に前へ進めていると思います。

よくある質問

DNAと遺伝子は同じですか?

同じではありません。DNAは遺伝情報を持っているもので、遺伝子はそのDNAの中にある一部分です。簡単に言えば、DNAの中に遺伝子があります。

DNAと染色体は同じですか?

同じではありません。DNAは遺伝情報を持つもので、染色体はそのDNAを細胞の中にしまいやすい形にまとめたものです。

DNAとゲノムはほぼ同じですか?

かなりざっくり言えば近いですが、完全に同じではありません。DNAは遺伝情報が書かれているもので、ゲノムはその生き物が持つ遺伝情報の全体をまとめて見た呼び方です。

DNAはどこにありますか?

多くは細胞の中の核にあります。少しだけ、ミトコンドリアにもDNAがあります。

DNAで性格や才能は決まりますか?

DNAが関係する部分はありますが、DNAだけで決まるわけではありません。環境や経験、生活習慣なども関係します。

DNA鑑定ではDNAの全部を見るのですか?

一般的には、全部を見るわけではありません。人によって違いが出やすい部分を調べて、個人の識別や親子関係の確認に使います。

参考サイト

MedlinePlus Genetics「What is DNA?」
https://medlineplus.gov/genetics/understanding/basics/dna/

National Human Genome Research Institute「Deoxyribonucleic Acid (DNA) Fact Sheet」
https://www.genome.gov/about-genomics/fact-sheets/Deoxyribonucleic-Acid-Fact-Sheet

MedlinePlus Genetics「What is a gene?」
https://medlineplus.gov/genetics/understanding/basics/gene/

National Human Genome Research Institute「Chromosomes Fact Sheet」
https://www.genome.gov/about-genomics/fact-sheets/Chromosomes-Fact-Sheet

National Human Genome Research Institute「Genome」
https://www.genome.gov/genetics-glossary/Genome

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